SEAN CONNERY
ショーン・コネリー


  初代ジェームズ・ボンド。
  1962年 『ドクター・ノオ』
  1963年 『ロシアより愛をこめて』
  1964年 『ゴールドフィンガー』
  1965年 『サンダ−ボール作戦』
  1967年 『007は二度死ぬ』
  1971年 『ダイヤモンドは永遠に』 の計6作に出演した。
  

 今もなお、『007はコネリーの番号だ』と賞されるほど、その印象は強烈で、ジェームズ・ボンドの
イメージは、やはりコネリー抜きには語れないと言われている。
 穏やかな微笑み、さり気ないウィット、冷静な態度といった、初期ボンドの典型を作り上げた。
 ボンド役に抜擢された時、彼はまだ名の知れた俳優ではなかったが、最初の面接に来た彼は
スクリーンテストを受ける事を怒りをあらわに断ったらしい。そんなプライドの高さ、感情の激しさは
殺しのライセンスを持つ男にはピッタリだと思わせるには十分だった。
 しかし、最初からコネリーが洗練された物腰の男では無かった事は有名な話だ。あまりに無骨な
コネリーを、少しでもボンドに近づけるため、監督のテレンス・ヤングはネクタイをつけスーツを着た
まま寝る事を指示したらしい。
 それでも、『ドクター・ノオ』から既にその存在感は抜群だ。“濃い”顔に見栄えのする肉体、冷徹で
落ち着いた態度に魅力的な言葉。コネリーは一夜にして国際的スターにのし上がった。
 歴代ボンドの中でも、“タフさ”においては彼が一番だと思う。また、“女好き”という点でも一番だろう。
時代のせいもあるだろうが、ロジャームーアなら手を出さない女にも彼は手を出すし、ティモシーダルトン
なら落とせない女も、彼には勝てない。その分、女性の扱いも今日なら非難を浴びそうなほど、あまり
良いものではないが。
 そんな大人の男性の影に見え隠れする子供っぽさもお気に入りの一つだ。帽子を投げてうまく
帽子かけに掛かった時の嬉しそうな顔や、上司のMと話す時のちっちゃくなった様子など、“可愛い”
という形容詞すらつきそうな面白い一面もあったりする。
 他のボンドに比べると、少し動きが重い気はする。“軽快な動き”はあまり無いが、その分アクション
も少ないのでそうは目立たない。そんな事はどうでもいいほど、ただ立っているだけで十分過ぎる存在
をアピールできる迫力があるから特に問題は無いけど。
 作品の後半になると、少し年をとった感が強くますます動きがにぶくなる。『ダイヤモンドは永遠に』の
コネリーは、もうただのおじさんだ。個人的には、『サンダ−ボール作戦』までのコネリーがベストだと
思う。そのあたりから、コネリー本人も“飽きてきた”と言っているほど、どう見てもボンド役を楽しんで
いるようには見えない。

 “冷静で冷徹、お洒落で大胆、ウィットに富んで博識、勝負強く女好き”
 こんな、セックスと暴力を強調した本来のボンドを演じきれるのは、彼しかいないのかもしれん。