TIMOTHY DALTON
ティモシー・ダルトン


  4代目ジェームズ・ボンド。
  1987年 『リビング・デイライツ』
  1989年 『消されたライセンス』
                       の計2作に出演した。
  

 スマートで、ひたすらに真面目な紳士。そしてある意味最も危ない男。
ロジャー・ボンドから007の世界に入った人間として、当初全くなじめなかった。
ジョークを飛ばすのも乏しいほど、堅物といっていいぐらいの真面目な人間を思わせる風体。
それも、専門がシェークスピア舞台俳優だという所からも来ているのだろう。
 彼が25歳の時、すでにボンド役のオファーが来ていたが『若過ぎる』と言って辞退したらしい。
それほど前から、プロデューサー達が熱望していたという事だ。今回のボンド役が成立するまでに
これまで3回もボンド候補に挙がったらしい。
彼は、ボンドを演じるにあたってまずはボンド小説を全て読み返したそうだ。何とも舞台俳優らしい
入り方だが、確かに小説のボンド像に一番近いのは彼かもしれない。
 演技力もさることながら、その動きもとても軽やかだ。ほとんど全てのスタントを自分でこなす
ほどの運動能力も持ち、ロジャーの“おじさん走り”から格段の進歩を遂げた。
 また時代のせいもあるが、ほとんど他の女に目をくれず一人の女性以外にはあまり興味を示さ
ないのも新鮮な感じがした。とにかく、真面目なのだ。
 最初は戸惑ったが、実はかなり気に入っている。評価は悪かったらしいが、ルックスも動きも
なかなかキマッていて悪くない。彼のボンドの最大の特徴は、危ないという事だろう。怒ると
何をしでかすか分からない、言い変えれば何をしてもおかしくない。そんな危険な雰囲気を持った
ボンドを誕生させた。ほんわかした雰囲気が蔓延していた当時の007作品が、一気に引き締まった
のは彼の功績だ。その堅さが、あまり馴染まれにくかったようだが。
 シリアスで、昔のショーン・コネリーを思わせる『冷徹な男』であり、そんなに野蛮そうでもない
ダルトン・ボンドは今観ても結構良いと、自分は思う。