始まり
そもそも、突然の電話から始まった。
『穂高の練習に、富士山登るぞ』という内容の電話。今年、穂高・槍ヶ岳に
登りに行くメンバーに、登山初体験の人間が2人いるという事で、その練習先
に富士山が選ばれたわけだ。仕事の都合上、穂高には行けない自分はすぐ
にこの話に飛びついた。富士には何度か行ったが、まともに登った事は一度も
無い。日本一と称される山。これは登っておくしかないでしょう。
8月14日夜9時過ぎ。仕事を終えて一旦家に戻り準備を整える。ほどなくS氏
を乗せたU氏の車が迎えに来る。荷物を積み込んで、さらなる待ち合わせ場所
へ移動。すでにスタンばっていたM氏と合流。そして最後のメンバーH氏の車
もやってきて全員集合。それぞれ2つの車に分乗して、いよいよ出発する。
高速を経て順調に静岡に入る。何というICで降りたのか、不覚にも忘れてしま
ったが、とにかくコンビニで食料買い込みついでに休憩。すでに空気はひんやり
していた。12時ぐらいだったかな?ああ記憶があいまいです。
さらに138号線を走る。富士山には5つの登山道があるが、そのうち河口湖口
と富士宮口にはこの時期マイカー規制なるものがあり、吉田口には駐車場が無い
などいろんな制約がある。残る二つは御殿場口と須走口であるが、我々が目指す
のは『須走口登山道』だ。
道も次第にカーブの多い山道となり、ライトを消すと真っ暗だぜとか何とか盛り上
がりながら、どんどん冷える空気の中を徐々に登っていく。
ようやく“新5合目”にある駐車場に到着。目を疑うほどの駐車車両の量に驚いた。
第1、第2、そして第3駐車場までも満車。仕方なく我々は、多くの人がそうしている
ように結構広い道に路上駐車し、到着感に酔いしれる。ふと空を見上げると、信じら
れないほど多くの星が一面に広がっていた。
荷物を降ろし、準備を始める。ヘッドライトが各自に分配された。各々、自分の荷物
を整理し、装備を整える。思った以上に気温が低い。かなり寒い。
それなりの準備を終えると、出発まで少し眠ろうという事になった。
車の中で、短い眠りにつく。