『この任務が終わったら、あなたを殺すわ』





007/THE SPY WHO LOVED ME
私を愛したスパイ

スパイ合戦で危うく出し抜かれるところだったソ連の女性スパイとの遭遇で、
ロジャー・ムーアは70年代のボンドの地位をしっかりと自分のものにした。





1977年 125分

製作 : アルバート・R・ブロッコリ、イオンプロダクション

監督 : ルイス・ギルバート
脚本 : クリストファー・ウッド、リチャード・メイボウム
撮影 : クロード・ルノアール
プロダクションデザイン : ケン・アダム
特殊効果 : デレク・メディングス、アラン・メイリー
アクション指導 : ボブ・シモンズ
スキー・ジャンプ : リック・シルヴェスター
編集 : ジョン・グレン
メインタイトル・デザイン : モーリス・ビンダー
音楽 : マービン・ハムリッシュ
主題歌 : カーリー・サイモン

配給 : ユナイテッド・アーティスト

ロジャー・ムーア / ジェームズ・ボンド
バーバラ・バック / アニヤ・アマソワ少佐
クルト・ユルゲンス / カール・ストロンバーグ

リチャード・キール / ジョーズ
キャロライン・モンロー / ナオミ

バーナード・リー / M
ロイス・マックスウェル / ミス・マニーペ二―
デズモント・リューウェリン / Q
ジェフリー・キーン / 国防大臣
ロバート・ブラウン / ハーグリーブス中将

story

 原子力潜水艦が失踪した。2隻の航跡は最高機密だが、その航跡を追えるような仕掛けのマイクロフィルムが
存在する事が分かった。熱による潜水艦追跡システムが使用されたらしく、007がマイクロフィルムを見つけるべく派遣される。
同時にソ連が派遣したトリプルXも、このフィルムを追っていた。2人はスパイ戦を繰り広げるが、やがて協力し、海洋生物学者
ストロンバーグの陰謀に挑む。


comment

 ボンドがロジャーに変わり、共同プロデューサーだったハリー・ザルツマンが007から離れ、前作は言うなら駄作。
そんな状況の中、もう007シリーズは終わってしまうのではという不安を一掃するべく放たれたこの
“the spy who loved me”は007の魅力がこれでもかというほどつまっている。

 そもそもこのタイトルから秀作ではないか。

 まずはオープニング。この物語の重要な所を含んでいるだけではなく、見所は“女王陛下”以来のスキーシーン。
追ってに追われ、危機的な状況からいかに抜け出すかを描く、以後ロジャーボンドの十八番となるタイプのもので、
素晴らしいのはその最後。絶壁まで滑り終えたボンドは、おいおいそこからどうするんだよと心配する観客の息を
飲ませながら、そのまま空中に落下する。音も消えたノーカットの映像の後、イギリス国旗の柄のパラシュートが開き
テーマが流れる。この作品のワールド・プレミアとなったロンドンのレスター・スクウェア・オデオンでは、この場面が
終わった途端、満場の拍手となった。

 その後も、見所は多い。今回は、エジプトなど絵になるシーンが多く登場し、テンポが遅いわけではないのに余裕を
もったつくりになっている。

 ロジャームーアもすっかり役が板につき、ただ軽い感じだけでなく、暗い面や残酷な面の表情にも深みが増し、すっかり
ボンドらしくなった。

 他のキャラクターにも印象強いものが多い。敵役・カール・ストロンバーグは海底に王国を作ろうとしている男で、
なかなか重厚な感じが良い。その手下も有名で(一人目は何でもないが)、鋼の歯で人を噛み殺すジョーズと呼ばれる男である。

 ボンドとともにストロンバーグの陰謀に挑むソ連のスパイ、アニヤ・アマソワ少佐は本当に美しい。彼女は、リンゴスターの
奥さんらしい。奥さんといえば、アニヤに自分の経歴を話され、その中で『結婚は一度、奥様は殺され・・・』の言葉に怒りを
あらわにするボンドの表情などには、ロジャームーアのボンド誕生を思わせる。

 新兵器も、魅力的なものが多い。特筆すべきは潜水艇に変形する自動車だろう。あれほど欲しくなった車は他にない。

 その他、いろいろな要素が絡み、この作品は名作と名高いものとなったのだ。

Scene

     【注意】 ネタばれを多く含みます。未鑑賞の方、お気を付け下さい 【注意】



      【編集中・・・・・・・・・・・・・・】




オープニング