Epitaph



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春には春の歌を歌おう
空を待つ草木が 笑い咲きますように
夏には夏の星を仰ごう
傍にある幸せを 探し出せますように
秋には秋の色を探そう
移りゆく景色を 描き出せますように
冬には冬の手紙を書こう
せめて読む人を 暖められますように

幾つもの四季を越えて続く旅
あの絵
あの曲
あの香り
全部カバンに詰め込んで歩く旅
時には入り切らない物が転がる

大きな音で転がる物は追わなくていい
それはどうせどうでもいい物で
大事な物はいつも
音も立てずに無くなる

できれば自分以外の誰かのカバンを
支える事ができますように
持ち方を考える必要なんて無い
何故なら重いのは
目に見えない荷物の方だから
ただ手を添えるだけで
ただ声をかけるだけで
ほら もうカバンは軽くなっている

そんなささやかな手を 伸ばし合えますように