『私は役に立つ男だ』





007/LICENCE TO KILL
消されたライセンス

『ドクター・ノオ』でデビューして27年、ジェームズ・ボンドは今でも
最近のどんな映画ヒーローよりも多くの可能性を秘めていることをこの作品で証明した





1989年 133分

製作 : アルバート・R・ブロッコリ、マイケル・G・ウィルソン、イオンプロダクション
アシスタント・プロデューサー : バーバラ・ブロッコリ

監督 : ジョン・グレン
脚本 : リチャード・メイボウム、マイケル・G・ウィルソン
撮影 : アレックス・ミルズ
プロダクションデザイン : ピーター・ラモント
アクション監督 : アーサー・ウースター
特殊効果 : ジョン・リチャードソン
スタント指導 : レミー・ジュリエンヌ、J・W・コーキー・フォーノフ
編集 : ジョン・グローヴァー
メインタイトル・デザイン : モーリス・ビンダー
音楽 : マイケル・ケイメン
主題歌 : グラディス・ナイト

配給 : MGM/ユナイテッド・アーティスト

ティモシー・ダルトン / ジェームズ・ボンド
キャリー・ローウェル / パム・ヴィービエ
ロバート・ダヴィ / フランツ・サンチェス

タリサ・ソト / ルぺ・ラモーラ
アンソニー・ザーブ / ミルトン・クレスト
ベニチオ・デル・トロ / ダリオ
プリシラ・バーンズ / デラ・チャーチル
エベレット・マクギル / エド・キリファー
ペドロ・アルメンダリスJr. / へクター・ロペス・大統領

ロバート・ブラウン / M
キャロライン・ブリス / ミス・マニーペ二―
デズモント・リューウェリン / Q
デヴィッド・ヘディソン / フィリックス・ライター

story

 CIAの友人フェリックス・ライターが、麻薬王サンチェスに足を奪われ妻を殺された。地元警察の生ぬるさに
耐えかね、復讐を誓い行動に出るボンドだが、Mからは任務を優先しろと叱咤される。怒りにふるえ、ボンドは
辞職を願い出る。心配するMをよそに、ボンドは単身、サンチェスの麻薬王国に挑む。


comment


 この作品を最後に、ティモシーダルトンは007を離れ、シリーズもかなりの間スクリーンから遠ざかることになる。
この事だけを見ると、この作品は失敗作のようにみえる。事実これまでの収益には及ばなかったが。
 しかし、『消されたライセンス』は『私を愛したスパイ』以来最高の作品だ。いや、『女王陛下の007』以来と
いっていいかもしれない。ムーアの軽いタッチを捨て、厳しいスパイの世界を描くよう路線変更されたこの作品は、
確かにユーモアは少なく、とても“硬い”作品ではある。しかし、それがファンにとって見ごたえのあるものになった
理由かもしれない。

 このオープニングも、敵を追い詰めるタイプだが、本当に素晴らしい。空中でヘリのワイヤーを使ってサンチェスの
乗る飛行機を吊り上げた後、友人フェリックスとともにかれの花嫁の待つ教会にそのまま落下してパラシュートで着地、
そして花嫁と抱き合い大勢の祝福する人々と教会に入っていくシーンは、お勧めのベストの入る。
 ボンドは今回、任務は与えられない。それどころか、Mの元を出奔して単身で行動に出るのだ。Mの
『それでは、おまえの殺しのライセンスを取り消す』の言葉は印象的だ。
 
 今回は、彼自身の余裕が無いせいかスパイ活動も遊びがなく、本格的だ。そこが一番の見所でもある。
 情報の入手法や敵地への潜入、そこでの振る舞い、敵への接近方法。いろんな角度から非常に楽しめる部分が多い。
 
 サンチェスの部下になろうとするボンドが、『セニョール・サンチェス、私は使える男だ』と言う場面も記憶に焼き
付いている。そんな言葉を吐いてみたいものだ。
 
 友人の悲劇に、人間的な怒りをあらわにし、仕事を捨てて復讐に乗り出すボンド。
 もう見られないだろうな。
 でもそこには、機械では無い、真に現実の人間的なボンドが魅力たっぷりに描かれているのだ。


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Scene

     【注意】 ネタばれを多く含みます。未鑑賞の方、お気を付け下さい 【注意】



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オープニング