『こんな計画を考える奴は異常だな』




007/FROM RUSSIA WITH LOVE
ロシアより愛をこめて

緊迫感溢れるアクション・スタイルで、今日でさえも
ボンド・シリーズの中で最も人気のある作品に数えられている






1963年 116分

製作 : ハリー・ザルツマン、アルバート・R・ブロッコリ、イオンプロダクション

監督 : テレンス・ヤング
脚本 : リチャード・メイボウム、ジョアンナ・ハーウッド脚色
撮影 : テッド・ムーア
プロダクションデザイン : シド・ケイン
特殊効果 : ジョン・ステアズ
スタント指導 : ピーター・パーキンス
編集 : ピーター・ハント
メインタイトル・デザイン : ロバート・ブラウンジョン
音楽 : ジョン・バリー
主題歌 : マット・モンロー

配給 : ユナイテッド・アーティスト

ショーン・コネリー / ジェームズ・ボンド
ダニエラ・ビアンキ / タチアナ・ロマノワ
ペドロ・アルメンダリス / ケリム・ベイ
ロッテ・レンヤ / ローザ・クレッブ
ロバート・ショー / レッド・グラント
ユーニス・ガイソン / シルビア・トレンチ
ウォルター・ゴテル / モーズニー
ヴラディック・シェイバル / クロンスティーン

バーナード・リー / M
ロイス・マックスウェル / ミス・マニーペ二―
デズモント・リューウェリン / ブースロイド少佐


story

 ソ連の暗号解読者タチアナ・ロマノワから、もしもジェームスボンドがイスタンブールまで迎えにくるなら、
レクターと呼ばれる暗号解読器を持って西側に亡命したいとの連絡があった。
 Mと007は気付かないが、この計画の影にはスペクターがいた。
 彼らには3つの動機があり、1つはソ連とイギリスを争わせること、2つ目にはレクターをソ連に売り戻す
取引で利益を得ること。さらに、3つ目は彼らの同朋ドクターノオ殺害の報復としてボンドに死を与えること。
例え、その企みが明らかになったとしても、イギリスはその罠に飛びついてくるはずだと彼らは踏んでいた。
 かくして、その計画は動き出す。

Comment

 シリーズ2作目にして、最高傑作として名高い名作である。

全編を通してテンポが速く、絶えず緊張感が失われない。原作にかなり近い仕上がりになっており、古いボンドファンに
とっては、いまだに最高作品と言われている。
 
 今回の見所としては、列車が印象深い。いかにもスパイらしい合言葉を使ったやり取りや、密室での格闘等、緊迫感
たっぷりのシーンが多い。特に、ボンドをぴったりとマークし、静かに確実に近づく敵、グラントは、シリーズ中屈指の
強敵として描かれている。彼にボンド殺害の指令を下す組織スペクターは、初期のボンド映画のほとんどでその悪玉となる。
 bPと呼ばれるエルンスト・スタブロ・ブロフェルドをボスとし、以下bナ呼ばれる幹部たちがボスの指令で行動する。
bPはこの後次第に正体を現すが、5作目の”007は二度死ぬ”までその顔は映されずひざの上に抱く白い猫がその象徴
となる。

 今回から生まれた新しい”定番”もある。プレタイトルと”Q”である。この後の全ての作品には、タイトルが出るまでに
ある程度のアクションなりイベントを含んだシーンが存在する。本編とは関係の無いものもあり、特に最近では普通の
アクション映画のクライマックス並みのアクションが展開されている。今作品のプレタイトルを最高作とする人も多く、
事実その出来は素晴らしい。派手なアクションも音楽も無いにもかかわらず、である。

 “Q”は、毎回ボンドに新兵器を手渡す、かの有名な人物で、今作品ではブーツロイド少佐と呼ばれている。まだ、驚くほど
若く、装備もいろいろ入ったアタッシュケースだけではあるが、すでに十分楽しめるものになっている。

 レッド・グラントに強い印象が残る。時期が来るまで、ボンドをぴたりとマークし、時には助け他の妨害を除き、徐々に近づいていく様子は
”刺客”には基本的に無い知性すら感じる。 俳優としてはまだ日の浅かったロバート・ショウが演じ、彼はこの演技を買われ、後にジョーズ
などの大作で重要な役を演じることになる。この素晴らしき敵も、魚料理とワインの組み合わせからボンドに素性を見抜かれ、史上に残る
壮絶なオリエント急行内密室戦を繰り広げることになる。

 前作で見られたユーモアは、さらに磨かれ健在である。例えば、大きな顔の看板の口の部分から出てきた男をライフルで打ち落とした後の
『口は災いの元』、敵のヘリコプターが墜落し炎上した時の『1機帰還せずか』などがある。

 もっとも面白いのは、ボンドとロマノアの会話を収録したテープをMやマネーペニーや政府高官達が聞くシーンだ。レクターの特徴を
聞き出すボンドに対して、ロマノアの関係ない言葉(あなたの瞳のような色など、甘い言葉)が挟まれ、ついには東京で遊んだ女について
ボンドが語り始めるとMはテープを止める。以後こういうユーモアは、頻繁に用いられるようになる。
 
 スペクターは、ボンドの敵としてしばらく存在する。今回主に行動するのはbRとbTである。中でもbTはチェス大会の優勝者として登場し
bOによって、その失策の責任を取らされ殺される。bTを殺しに、後ろからゆっくりとやってきて、靴に仕込んだ毒の刃で表情一つ変えずに
足をプスっと刺す不気味な男(モーズニー)が、何気に最も恐ろしい印象を残す。実際、あんな殺され方は、嫌だ。
 
 アクションに関しては、まだまだ古い映画らしく、とんでもないもので、特にヘリコプターの墜落シーンは何度見ても、おかしい。

 個人的に、終盤にボートに乗ったボンドが出てくるが、その海軍帽を被った姿が最もカッコよい。やはり、海軍中佐のボンドには、海が似合う。
 
 前述の、毒の刃がついた靴は、映画の最後にボンドに対しても使われるが、本当に見てるだけでも怖くなる最強の武器だと思ってしまう。
絶対に、あれを履いた奴とは会いたくない。



Scene


     【注意】 ネタばれを多く含みます。未鑑賞の方、お気を付け下さい 【注意】



             【編集中・・・】




●プレタイトル
●オープニングタイトル
●チェス〜スペクターの訓練場
●Mの部屋〜アタッシュケース
●ホテル
●ケリムベイの屋敷地下
●ジプシー襲撃
●口は災いの元
●船上の密会
●オリエント急行
●密室戦
●1機帰還せず
●最後の刺客
●エンディング